2018年6月16日土曜日

元国税調査官が暴くパナマ文書の正体 大村大次郎


【この本を選んだ理由】

 2015年、パナマ文書なるものが世間をさわがせました。当時、新聞等で何度か目にしましたが、「金持ちの脱税がばれたか」という程度で、そこまで興味をもちませんでした。時間つぶしのつもりで手に取った本でしたが、パナマ文書の背景、奥深さに非常に興味を惹かれる内容でした。

【感想】

 パナマ文書が有名になったのは、やはり記載されたリストに名だたる企業と著名人が記されていたからではないでしょうか。イギリスやアルゼンチンの首相や孫さんや三木谷さんなどがリストにあがっていました。これらはニュースなどでも大きく取り上げられていたので、周知の事実としてだと思います。
 私が最も興味をそそられたところは、なぜそのリストが構成されたのかというところです。その背景にあるタックスヘイブン、パナマという地域の生い立ち、隣国アメリカがありながらなぜアメリカの大企業はリストに少ないのか。これらの謎を明快に説明してくれています。
 特にタックスヘイブンの章では、ケイマン諸島がなぜタックスヘイブンの代表格になったのか。税制を優遇する土地を作る理由などは、国と国との税の取り合いと言えるないようなので一読の価値ありです。
 さらにその弊害とし、私のようなしがないサラリーマンから税金を取る様になった理由も考察されています。大企業や富裕層がタックスヘイブンに逃げると各国は税を取れなくなりますそして、本来取れるはずの税収を補うために消費税など取りやすいところから取るという流れになるからです。最近ですと、贈与税の控除基準額が下がったり、もうすぐ消費税が10%になることもこれに絡んでるのかと考えてしまいました。
 タックスヘイブンという虚像を作り出してしまったイギリス。当初の目論見(他国の資金を自国圏内に集る)とは裏腹に、自我を持つように育ってしまったタックスヘイブンはもう止めることのできない領域へと入っていきます。格差社会の入り口はすでに開いていて始まっているということが、語られている一冊ではないかと思います。税は取れるところから取る。。。。恐ろしいですね。

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