2018年6月23日土曜日

スイス銀行体験記 野地秩嘉


【この本を選んだ理由】

 元国税調査官が暴くパナマ文書の正体を読み、タックスヘイブンやプライベートバンクに興味を持ちました。プライベートバンクとしてルパン三世などでも名前が上がるスイス銀行について、知りたいと思ったのがきっかけです。

【感想】

 本書は、著者がスイス銀行に口座を開設するために行った調査や開設までの苦労を綴ったものです。特に、調査に重点が置かれており、日本の銀行(コマーシャルバンク)とプライベートバンクの違いがよく分かる内容です。
 日本にはまだ本格的なプライベートバンクは生まれていません。名前だけのものはありますが、著者の言うように私も、欧州等のプライベートバンクとは一線を画ものと思いました。一般人からみた日本の銀行は、預金をするところではないでしょうか。これは、銀行からすると金を一般人から借りている状態であり、それを運用して利子を返しています。銀行から見ると預け入れは負債となるそうです。
一方、プライベートバンクでは、預け入れは負債とはならず、証券会社と同様に分別管理される。そのため、日本の銀行では「守る」というニュアンスが低いのかもしれません。
 本書の中で、何名かの富裕層がプライベートバンクに口座を作るストーリが出てきます。開設しようとする富裕層は皆、金を増やすというよりも守り(維持)れれば良いと考えているようです。この背景として、プライベートバンクの生い立ちが色濃く残っているのだと感じました。戦争の多かったヨーロッパでプライベートバンクは誕生しました。その目的は資産を守ることです。その為中立国のスイスが筆頭となったみたいです。
 資産を守るためにプライベートバンクは、運用だけではなく、顧客の家族をどう育てるかという観点でも守ってくれるようです。宝くじで当たった人がすぐに使い切ってもとに戻る話がありますが、富裕層の次の世代で同じことが起こらないようにするのもプライベートバンクの仕事の一部だということです。資産の守りについて、顧客の家族にまで目を向けこの資産を確実に構成まで維持するしようとする気迫を感じました。
 本書を読み終えて、いつか私も口座を作れたらと思いました。金を借りるのはコマーシャルバンク、維持するのはプライベートバンクと使い分けれられるくらいになりたいものです。開設の最低金額は1500万程度のようです。これに諸費用や斡旋代などが乗って来るとか。しかも全財産のうちの1500万は何%かという質問もあるようですので、全資産はもっと持ってないとだめですね。せめて1.5億くらい。。。

2018年6月16日土曜日

元国税調査官が暴くパナマ文書の正体 大村大次郎


【この本を選んだ理由】

 2015年、パナマ文書なるものが世間をさわがせました。当時、新聞等で何度か目にしましたが、「金持ちの脱税がばれたか」という程度で、そこまで興味をもちませんでした。時間つぶしのつもりで手に取った本でしたが、パナマ文書の背景、奥深さに非常に興味を惹かれる内容でした。

【感想】

 パナマ文書が有名になったのは、やはり記載されたリストに名だたる企業と著名人が記されていたからではないでしょうか。イギリスやアルゼンチンの首相や孫さんや三木谷さんなどがリストにあがっていました。これらはニュースなどでも大きく取り上げられていたので、周知の事実としてだと思います。
 私が最も興味をそそられたところは、なぜそのリストが構成されたのかというところです。その背景にあるタックスヘイブン、パナマという地域の生い立ち、隣国アメリカがありながらなぜアメリカの大企業はリストに少ないのか。これらの謎を明快に説明してくれています。
 特にタックスヘイブンの章では、ケイマン諸島がなぜタックスヘイブンの代表格になったのか。税制を優遇する土地を作る理由などは、国と国との税の取り合いと言えるないようなので一読の価値ありです。
 さらにその弊害とし、私のようなしがないサラリーマンから税金を取る様になった理由も考察されています。大企業や富裕層がタックスヘイブンに逃げると各国は税を取れなくなりますそして、本来取れるはずの税収を補うために消費税など取りやすいところから取るという流れになるからです。最近ですと、贈与税の控除基準額が下がったり、もうすぐ消費税が10%になることもこれに絡んでるのかと考えてしまいました。
 タックスヘイブンという虚像を作り出してしまったイギリス。当初の目論見(他国の資金を自国圏内に集る)とは裏腹に、自我を持つように育ってしまったタックスヘイブンはもう止めることのできない領域へと入っていきます。格差社会の入り口はすでに開いていて始まっているということが、語られている一冊ではないかと思います。税は取れるところから取る。。。。恐ろしいですね。

この一冊で iPS細胞が全部わかる 金子隆一 新海裕美子

【この本を選んだ理由】  4年ほど前に「STAP細胞」が話題になりました。当時あまり気にもとめておらず、なんとなくSTAP細胞という言葉だけ覚えた気がします。iPS細胞、ES細胞との区別もわからないままでした。先日ふとネットの記事に「アメリカでSTAP現象の確認が」という内...