2018年10月21日日曜日

この一冊で iPS細胞が全部わかる 金子隆一 新海裕美子

【この本を選んだ理由】

 4年ほど前に「STAP細胞」が話題になりました。当時あまり気にもとめておらず、なんとなくSTAP細胞という言葉だけ覚えた気がします。iPS細胞、ES細胞との区別もわからないままでした。先日ふとネットの記事に「アメリカでSTAP現象の確認が」という内容を目にして、言葉だけで中身を理解していないなと考えて本書を読むことにしました。

【感想】

 iPS細胞の生成に成功した京都大学 山中伸弥教授を中心として、本書はiPS細胞の可能性と現時点(2011年)の限界を語っている。
そもそも、iPS細胞を理解するためには、通常の細胞、ES細胞を理解する必要がある。これらを理解してこそ、STAP現象が如何に驚きの発見であるかが理解できる。実在することが証明できればであるが。

 通常の細胞の説明では、細胞膜、核、ミトコンドリアなど中学から高校で習う内容に終始している。そしてDNA、RNAの説明に入ってからが本書の醍醐味である。細胞ば一旦成長する(分化)するともとに戻ることはあるのか(退化)という命題に対して、著名な学者たちが苦労の末、見つけてきた細胞の特性を述べている。
 簡単に説明するとES細胞は臍帯血などの中からすでに存在する多能性細胞である。iPS細胞は、分化が進んだ細胞を退化させて(元に戻す)得られた多能性細胞である。
 
 これらの詳細な違い、分裂の可能性、DNAのロック(メチル化)など義務教育の範囲では知ることがなかった現象を平易な言葉で説明されている。詳しさを求めるには少し物足りないと思われるかもしれないが、高校生物に興味を持ち更に大学の専攻を考える学生にはよい書ではないかと思う。

2018年10月1日月曜日

メールでできるアメリカ不動産投資 優子マックマーン


【この本を選んだ理由】

 少子高齢化で人口が減ることが目に見えている日本では賃貸業は斜傾事業なのではないかと考えています。ですので海外に目を向け家賃で生活できればと思いこの本を取りました。

【感想】

日本にいながら海外の不動産投資ができる。日本で賃貸業が難しいのではと考えていた私にとって非常にインパクトの有るタイトルでした。そして海外不動産(特に、カリフォルニア)の不動産投資の状況とその仕組み、やり方などが大枠で捉えられる一冊だと思います。

筆者は、ランドスケープデザイナーとして富裕層の庭をデザインしていたそうです。そこで富裕層から米国では不動産がと時とともに価値があがること。賃貸としても利益が得られることを教わります。まるで「金持ち父さん、貧乏父さん」のようです。

海外の不動産投資についても大別して説明があります。「Buy and Hold」「Fix and Flip」「Trust Deed Investment」「Private Money Lending」

ざっくりと説明すると順に「買って賃貸にだす」「買って直して、高く売る」「物件に対して投資し、分配をもらう」「買って直して、高く売ろうとしている人に金を貸す」
さらに、ざっくりとこれらのリスクや始めやすさも説明されていて、初心者向けの内容といえました。

また、米国と日本の生活様式の違い、そこからくるストレスも注意書きされているので事前に理解した上で投資をスタートできると思います。あとは、一歩踏み出す勇気です。
その前に、同様の本を2,3読んでからですね。

2018年9月28日金曜日

ビジネスリノベーションの教科書 西村佳隆


【この本を選んだ理由】

 現職でちょうど、新規事業創出というテーマを与えられているため、何かのきっかけになればと思い手に取りました。少ないリスクで最大の効果というサブタイトルにも惹かれました。
 イノベーションを起こせと社内でよく言われますが、実際「ホイホイ起こせたら、今頃ザッカーバーグだ」と思っていましたので、イノベーションでハンクリノベーションというところに期待を寄せていました。

【感想】

 本書は、まさに上記理由にあるように、「イノベーションを任された」立場の方の一助となる一冊だと思います。任された方のやり方、ストレスに思っているところの拠り所が書かれていると感じました。
 イノベーションは非常にハードルが高く、やろうと思ってできるものではありません。また、0から1を生み出すということは外れる確率も高く、ある意味「博打」と同じようなものだと本書では述べています。私もこの点には非常に共感しています。生み出すことが難しいだからイノベーションではなく既存のものをリノベーションして収益を産もうとするのが本書のテーマです。小さなリノベーションの中にイノベーションが隠れている可能性もあります。
 そのための方法論や考え方、ツールなどが本書には記載されています。簡単にあげるならば、既存ビジネスのターゲットを変えて他の層にもアプローチすることでマーケットを広げる。そうすることで新規投資(開発など)を行わずして、収益を生むことができるというものです。
 Googleの例を本書ではよく見かけます。様々なサービスを次から次へと創出するGoogleの経営になぞることで説得力を増しているのだと思います。
 その中で特に印象に残っているのは、Google経営陣は自身が経営判断を誤る可能性を認識しているというところです。日本の企業にはこれはあまりないところだと思います。日本の経営陣はおそらく、今まで自分たちがやってきかことは正しい。この経験があれば企業は存続できると考えているのだと思います。これに対してGoogle経営陣は自分たち旧来の人間のやり方(成熟したビジネス方程式)では新しいことは起こせないと自己認識しているというのです。
 新しい考え方を潰すのは経営陣、上司など旧来の考え(よくいえば経験)であるということだと思います。私もアイデアベースで相談を持ちかけたとき、正論の雨あられの中で心を折られたことは何度かあります。そんな時の経営陣のあり方も本書では挙げられています。本来の上司のあり方を説明してくれているので、「だよね」と思う部分も多分にあります。
 既存ビジネスではない新規ビジネスを進める方たちはブルーオーシャンを目指すパイオニアです。様々な冒険はつきものですが、身内から「ダメだ」「無理だ」「考えが足りない」と背中から刺されたらレッドオーシャンに戻り効率化と価格競争でやり慣れて疲弊した戦い方を選んでしまいます。上司の方はこんなこと望んでないですよね。孤軍奮闘しようとする仲間をどう支えるのか。これを考えてみると何かが変わるのかもしれません。





2018年9月2日日曜日

100円のコーラを1000円で売る方法 永井孝尚


【この本を選んだ理由】

 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」に似てるなとおもって手に取りました。特に何か思いを馳せていたわけではありません。単純にどうやって売るんだろおとおもったくらいです。

【感想】

 本書で述べていることはお客様に対して「価格」を提供するか「価値」を提供するかと言うことです。日本は戦後急成長する経済の中で、顧客中心のビジネスを続けてきました。「お客様は神様です」という冗談めいた言葉もあるくらいですから。少なくとも私の職場でも顧客中心思考のようなものは、脈々と受け継がれています。
 本書では顧客は大切だと言うことを述べるとともに、顧客へ提供するモノを適切な方法で届けることはもっと大切だと言っています。例えば、本書に登場する宮前さん(主人公)は当初、日本従来の「お客様は神様」の考えを持って実績を上げてきましたが、新事業で右往左往するなかで顧客の要件を鵜呑みにすることは自社の価値を無くすこと、強みを消すことだと気づきます。
 私の周りのビジネスは、昔の宮前さんと非常に似ていると感じました。おそらく2018年の日本のビジネスは戦後のビジネスの思想からそこまで変わっていないのではないでしょうか。自社の強みを正確に理解せず、他社に負けないなんでもできるモノを求めていないでしょうか?商品開発部への要求は、「他社がこの機能を持っているから追加してほしい、強化してほしい」と他社を追うことばかり考えていないでしょうか?これでは価格競争から脱することはできず、機能・サービスが似ているのだから低価格が強みとなってしまいます。
 本来あるべきビジネスの姿とは、強みを強調し価格競争に陥らないことだそうです。昨年は日本のスマホベンダーの最後の年といってもいいかもしれません。機能で差別化できずに海外の低価格スマホに圧倒され事業縮小、撤退が相次ぎました。もしかしたら販売戦略や顧客への導入ステップを間違えたのかもしれません。ガラパゴスと言われていたガラケーのように日本で生き残る道もあったかもしれません。
 読み終えて、実社会と照らし合わせて何かできることがあったのではないかと考えさせられる一冊でした。

2018年7月7日土曜日

まんがで身につくファイナンス 石野雄一


【この本を選んだ理由】

 数年前にIT以外の知識を身に着けようとFPや会計士の勉強をしていました。
結果中途半端に終ってしまいました。その時の罪悪感もあり、簡単そうな本からリスタートということで本書を手に取りました。

【感想】

 マネージャーがドラッガーの・・・と同じ構成で作られており、基本的には漫画です。
各テーマの間に出てきたキーワードなどなどの解説が入っていて、非常に読みやすいと感じました。
説明は漫画になぞられた説明となっており、漫画では絵で見てぱっと分かるという内容ですが、文の説明でその背景や予備知識を補うという形です。
 本書の中心はPL、企業価値、キャッシュと利益です。黒字倒産など一昔雨に話題になった言葉などが出てきます。
 知識0からを謳っているので、超初心者向けです。ただ基本をおさらいする、基本に立ち返るなどの思い起こすという点でも活用できるので持っていて損はないかと思いました。

2018年6月23日土曜日

スイス銀行体験記 野地秩嘉


【この本を選んだ理由】

 元国税調査官が暴くパナマ文書の正体を読み、タックスヘイブンやプライベートバンクに興味を持ちました。プライベートバンクとしてルパン三世などでも名前が上がるスイス銀行について、知りたいと思ったのがきっかけです。

【感想】

 本書は、著者がスイス銀行に口座を開設するために行った調査や開設までの苦労を綴ったものです。特に、調査に重点が置かれており、日本の銀行(コマーシャルバンク)とプライベートバンクの違いがよく分かる内容です。
 日本にはまだ本格的なプライベートバンクは生まれていません。名前だけのものはありますが、著者の言うように私も、欧州等のプライベートバンクとは一線を画ものと思いました。一般人からみた日本の銀行は、預金をするところではないでしょうか。これは、銀行からすると金を一般人から借りている状態であり、それを運用して利子を返しています。銀行から見ると預け入れは負債となるそうです。
一方、プライベートバンクでは、預け入れは負債とはならず、証券会社と同様に分別管理される。そのため、日本の銀行では「守る」というニュアンスが低いのかもしれません。
 本書の中で、何名かの富裕層がプライベートバンクに口座を作るストーリが出てきます。開設しようとする富裕層は皆、金を増やすというよりも守り(維持)れれば良いと考えているようです。この背景として、プライベートバンクの生い立ちが色濃く残っているのだと感じました。戦争の多かったヨーロッパでプライベートバンクは誕生しました。その目的は資産を守ることです。その為中立国のスイスが筆頭となったみたいです。
 資産を守るためにプライベートバンクは、運用だけではなく、顧客の家族をどう育てるかという観点でも守ってくれるようです。宝くじで当たった人がすぐに使い切ってもとに戻る話がありますが、富裕層の次の世代で同じことが起こらないようにするのもプライベートバンクの仕事の一部だということです。資産の守りについて、顧客の家族にまで目を向けこの資産を確実に構成まで維持するしようとする気迫を感じました。
 本書を読み終えて、いつか私も口座を作れたらと思いました。金を借りるのはコマーシャルバンク、維持するのはプライベートバンクと使い分けれられるくらいになりたいものです。開設の最低金額は1500万程度のようです。これに諸費用や斡旋代などが乗って来るとか。しかも全財産のうちの1500万は何%かという質問もあるようですので、全資産はもっと持ってないとだめですね。せめて1.5億くらい。。。

2018年6月16日土曜日

元国税調査官が暴くパナマ文書の正体 大村大次郎


【この本を選んだ理由】

 2015年、パナマ文書なるものが世間をさわがせました。当時、新聞等で何度か目にしましたが、「金持ちの脱税がばれたか」という程度で、そこまで興味をもちませんでした。時間つぶしのつもりで手に取った本でしたが、パナマ文書の背景、奥深さに非常に興味を惹かれる内容でした。

【感想】

 パナマ文書が有名になったのは、やはり記載されたリストに名だたる企業と著名人が記されていたからではないでしょうか。イギリスやアルゼンチンの首相や孫さんや三木谷さんなどがリストにあがっていました。これらはニュースなどでも大きく取り上げられていたので、周知の事実としてだと思います。
 私が最も興味をそそられたところは、なぜそのリストが構成されたのかというところです。その背景にあるタックスヘイブン、パナマという地域の生い立ち、隣国アメリカがありながらなぜアメリカの大企業はリストに少ないのか。これらの謎を明快に説明してくれています。
 特にタックスヘイブンの章では、ケイマン諸島がなぜタックスヘイブンの代表格になったのか。税制を優遇する土地を作る理由などは、国と国との税の取り合いと言えるないようなので一読の価値ありです。
 さらにその弊害とし、私のようなしがないサラリーマンから税金を取る様になった理由も考察されています。大企業や富裕層がタックスヘイブンに逃げると各国は税を取れなくなりますそして、本来取れるはずの税収を補うために消費税など取りやすいところから取るという流れになるからです。最近ですと、贈与税の控除基準額が下がったり、もうすぐ消費税が10%になることもこれに絡んでるのかと考えてしまいました。
 タックスヘイブンという虚像を作り出してしまったイギリス。当初の目論見(他国の資金を自国圏内に集る)とは裏腹に、自我を持つように育ってしまったタックスヘイブンはもう止めることのできない領域へと入っていきます。格差社会の入り口はすでに開いていて始まっているということが、語られている一冊ではないかと思います。税は取れるところから取る。。。。恐ろしいですね。

この一冊で iPS細胞が全部わかる 金子隆一 新海裕美子

【この本を選んだ理由】  4年ほど前に「STAP細胞」が話題になりました。当時あまり気にもとめておらず、なんとなくSTAP細胞という言葉だけ覚えた気がします。iPS細胞、ES細胞との区別もわからないままでした。先日ふとネットの記事に「アメリカでSTAP現象の確認が」という内...